HOME
→
技術継承
→
錦帯橋の話(目次)
→ その4
錦帯橋の話
その4 (47 - 75頁) / 全111頁
岩国中央図書館所蔵
品川 資(元岩国市錦帯橋建設局次長) 著述
1954年10月発行
操作法: ページ縮小図を押すと拡大ページになり両端を押すと頁めくりです。拡大後、枠外周辺を押すと閉じます。
錦帯橋の話 第二編
藩政時代は橋守等により清掃されてきた。
明治時代は岩国町、町内会、消防団が清掃を行ってきた。
大正4年、岩国町議会で錦帯橋清掃費が予算計上された。大正10年、錦帯橋清掃費を横山青年団に委託する方針に変更した。
昭和20年の終戦とともに、岩国市は改めて清掃人夫費用を予算計上した。
三、昭和二十五年の流失と再建工事の概要
単ページ 47
一、流失
1. 流失原因
(一)直接の原因
(イ)橋脚の崩壊
河床の敷石が長年の間に損傷して、橋脚付近に3mの穴が生じた
(ロ)隔石
アーチ構造の木橋は隔石で両側からのツッパリを支えているが、橋脚崩落で隔石がなくなるとツッパリが外れて次々と木橋が落ちた。
(二)間接の原因
(イ)錦川流域山林の乱伐採で、山の保水力が低下していた
(ロ)戦後復旧で、錦帯橋の上流・下流の川砂利を無計画に採取して河床が異常になった。
(ハ)錦川上流の向道ダムの放流タイミングが悪く、水量が急激に増加した。
単ページ 48
2.流失時の状況
昭和二十五年九月十三日より十四日朝に至るキジヤ台風による暴風雨で錦川は暫時増水し、十四日午前九時三十分頃には水位8m90cmに達した。
単ページ 49
午前九時四十分、一大音響と共に第三橋脚崩落し、同時に第三、第四箸は横転墜落して激流に呑まれた。 第二橋は揺れが激しくなり午前十一時十分頃、濁流に姿を消した。延宝2年と同じく、中央の3橋が全部流失した。 流失した橋体は漂流中に分解して次の箇所に漂着した。
(一)臥龍橋、愛川橋付近
(二)藤生黒磯海岸、由宇有家海岸、鳴門村海岸、前島海岸
二、再建工事の概要
1.再建を決定した素因
(一)官民一致の再建運動
単ページ 50
(二)観光地百選に首位当選
(三)料亭「Aワン」会議
単ページ 51
2.再建の構想(復興方針)
(一)井筒の長さは地質調査の上決定する
(二)井筒の構造は更に検討する
(三)木橋を橋脚にはめ込む部分は、雨等で腐食しない構造にすること
(四)高欄は創建時の質素な形状に戻すこと
(五)建設省が見積もる検査額を超過する工費は、別途工夫すること
単ページ 52
前記、建設省の指導方針に従い、岩国市は具体的な再建方針を次のように決めた
(一)橋脚は、地下10mまで鉄筋コンクリート製の井筒を埋め込み、地上5mには鉄筋コンクリートの心壁を設ける
(二)橋脚の高さは洪水に備えて、創建時より1m高くする
(三)橋脚の桁受け部は隔石に代わりに、通風排水機能を持つ鋳物製の桁受け沓鉄を設ける
単ページ 53
(四)橋体用木材に防虫・防腐剤を加圧注入する
(五)橋体構造は創建時のままとする。高欄は大正時代の架け替えで華美なものにしたが、創建時の形状に戻す
単ページ 54
錦帯橋の高欄は創建以来、一貫して古式を採用してきた。徳川時代は格式が重視され、擬宝珠高欄は10万石以上でないと採用できなかった。
単ページ 55
吉川家は6万石で擬宝珠高欄は使えなかった。また安藤広重の浮世絵には古式の高欄が描かれている。
3.再建の機構(組織)
従来の木橋架け替えに比べて工事内容が大きいので、岩国市は昭和二十五年十二月、錦帯橋建設課を設置した。 更に、昭和二十六年七月建設局に昇格させた。
単ページ 56
4.施工形態と工事請負人
単ページ 57
5.施工の概要
単ページ 58
最も苦心したのは石垣の築造であった。
単ページ 59
8ヶ月に渡る、河野実、小笠原、佐々木達の努力の結果が、創建時の姿を残す橋脚である
単ページ 60
台風再来か、工事決行かの迷い。
単ページ 61
(二)作業用施設と仮橋の設置
(三)再建工事で構造設計上、改変した諸点
単ページ 62
(イ)橋脚(台)
(ロ)普通橋脚(柱橋)
(ハ)橋体
A.高欄の形式を古式に戻した
B.左右橋の長さを同一
C.橋板を水平から、両端を僅かに曲げて排水するようにした
単ページ 63
D.左右柱橋の橋板継ぎ目で、中央に溝を掘り接着剤を充填した
E.高欄と橋板を結着する取付金具を釘からボルトに変更した
F.拱橋(第二、三、四橋)の起橋点には従来の振留木以外、鉄製アングルを取り付けた
G.橋体用木材に防虫・防腐剤を加圧注入した
単ページ 64
6.木材防腐処理
単ページ 65
防腐処理の概要と木材の輸送
単ページ 66
固着剤の塗布
単ページ 67
防腐処理の効果
単ページ 68
7.工事費、労力及び資材の調達
(一)工事費の概要
(イ)財源及び内訳
単ページ 69
(ロ)予算及び決算
単ページ 70
主要工種別工事費
橋体工費内訳
(二)労力の概要
単ページ 71
職種別延べ人員表
資材の調達
(イ)石材
単ページ 72
(ロ)木材
(1)用材としての適格条件
(2)原木の産地
単ページ 73
(3)木材所要数量
単ページ 74
再建工事用の主要資材数量
単ページ 75
TOP