岩国市史　

沼・干潟・川跡・遠浅海の開墾

岩国徴古館　岩国市史編纂所　昭和32年(1957年）　編集　
第二部　藩政時代の岩国
第二編　経済
　　　第三章　農耕地の開拓

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第四節　愛宕・尾津地区の干拓

１７世紀初期の愛宕地区は山際まで一面の海であった

岩国藩の本格的干拓は１９世紀に入ってからで、江戸時代初期は小規模の手捌（てさばき）干拓であった。 1672年（寛文年間）、開作地所持者は７名で合わせて六十八石で、 1704年（元禄年間）、開作地所持者は１１名で百三十一石、 1724年（享保年間）、開作地所持者は１８名で二百七十六石あった。初期の干拓地は山県亦右衛門家可が開作した山県上地、森脇又兵衛正明が開作した三木上地及び、

山際の長浜一帯を１７世紀前後（延宝から元禄時代）、干拓した吉木上地・井原上地・今田上地・森脇上地・山中上地を総称した進藤上地である。 1717年（享保年間）、栗栖開は門前川の川口三角州を栗栖七左衛門が干拓した。 1809年（文化六年）、岩国藩営により尾津・天池沖一帯の干拓工事が行われ、菊地開・天池開一の割から十の割に至る百三十町分、千二百石の干拓地がうまれた。、

麻里布地区・川下地区と同じく、香川琴山が奉行で新地分譲を条件に町在より献金を集めて工事を行った。翌1810年（文化七年）、牛ノ谷から尾津干拓地まで二十四町余（約２．６km）、岩国川（錦川）の水をひく灌漑用水路を掘った。 1825年（文政八年）、仙島屋形が発起して募金・工事を行う準藩営の仙島館開作である。一の割から六の割までの約五十町分ある。 1857年（安政四年）、藩営で天池潟新開作一の割から十の割まで約五十六町分を干拓した。 1869年（明治二年）、天池潟新開作十の割付近で改修工事を行った。